『嫌われる勇気』の感想|他人の目が気になる会社員が学んだ「自分の考えを伝える」ための視点
相手がどう思っているかが気になって、言いたいことを飲み込んでしまう。あとから「本当はこう言いたかった」と考えることが、自分には少なくない。
人間関係で相手の反応を気にしすぎず、もっと自分らしく生きるヒントが欲しい。そう思っていたときに目に留まったのが、『嫌われる勇気』だった。タイトルの言葉そのものにも惹かれた。
読み終えていちばん残ったのは、他人が自分をどう評価するかは、自分ではコントロールできないという考え方だ。誰からも好かれようとするより、自分がどう生きたいかを大切にする。その視点が、気持ちを少し軽くしてくれた。
目次
哲人と青年の対話で、アドラーの考え方をたどる
本書は、心理学者アルフレッド・アドラーの考え方を、哲人と青年の対話という形で紹介する一冊だ。アドラーは、フロイトやユングと並ぶ心理学の大家の一人とされている。
物語は五つの夜に分かれていて、「トラウマを否定せよ」「すべての悩みは対人関係」「他者の課題を切り捨てる」といったテーマで二人の議論が進む。青年が哲人の考えに反論しながら読み進めるので、読者の疑問を代わりにぶつけてくれているような感覚がある。
心理学の本と聞くと難しそうに感じるけれど、会話を追いかけていくうちに、自分の人間関係に当てはめて考えている自分がいた。
他人の評価は、自分ではコントロールできない。どう思われるかを決めるのは相手。そこに力を使いすぎるより、自分にできることに目を向けたい。
誰からも好かれようとしなくていい。大切にしたいのは、自分がどう生きたいか。周りに合わせるだけの毎日から、少し抜け出すきっかけになる。
相手を尊重しながら、自分の考えを伝える。嫌われてもいいと開き直るのではなく、相手を大切にしたうえで、意見を飲み込まずに言葉にする。
他人の評価は、自分ではコントロールできない
自分にとっていちばん大きかったのは、他人が自分をどう評価するかは、自分では決められないという考え方だった。
相手に嫌われないように、気を悪くさせないように。そう考えて言葉を選ぶことは、悪いことではないと思う。ただ、どれだけ気をつけても、相手がどう受け取るかまでは自分で決められない。それなのに、そこにばかり気を取られていた。
自分の考えを伝えるかどうか。どんな言葉で、どんな態度で伝えるか。
伝えた結果、相手が自分をどう思うか。どう評価するか。
決められない部分を気にしすぎて、決められる部分まで手放さないこと。
誰からも好かれようとするのではなく、自分がどう生きたいかを大切にする。そう考えると、相手の反応に一喜一憂していた時間の使い方を見直したくなった。
相手を尊重しながら、自分の考えを伝えたい
読み終えて、変えていきたいと思ったことがある。相手にどう思われるかを気にして、自分の意見を飲み込むことを減らしたい。
といっても、嫌われてもかまわないと開き直りたいわけではない。仕事でもプライベートでも、相手を尊重しながら、自分の考えをきちんと伝える。それを意識するところから始めたいと思っている。
嫌われるために意見を言うのではない。
自分の考えを、相手を大切にしながら伝えるための勇気だと受け取った。
頭で分かっても、実践には時間がかかる
気になった点もある。アドラー心理学の考え方は魅力的だけれど、すべてを日常生活で実践するのは簡単ではなさそうだ。
特に、他人の評価を気にしないという考え方は、頭では理解できても、すぐに行動を変えられるものではない。長く続けてきた考え方の癖は、本を一冊読んだだけでは変わらないと思う。
だからこそ、一度で全部を変えようとせず、少しずつ試していくのが自分には合っている。読み返すたびに、受け取り方が変わる本なのかもしれない。
人間関係に疲れている人、他人の目が気になる人に
この本は、人間関係に疲れている人や、他人の目が気になる人に向いている。自分に自信を持ちたい人にも、考え方のきっかけをくれると思う。
周囲に合わせすぎてしまう人にもおすすめしたい。合わせることが悪いのではなく、自分の考えを持ったうえで選べるようになる。そのための視点が、この本には詰まっている。
読み終えたあとの、小さなクエスト
他人の評価を気にしない自分に、明日から急に変われるわけではない。だから、小さな場面から試してみたい。
会議でひと言だけ、自分の意見を伝えてみる。誘いを断りたいときに、理由を添えて正直に伝えてみる。相手を尊重する気持ちは忘れずに、自分の考えを言葉にする回数を少しずつ増やしていく。
獲得した視点は、他人の評価と自分の生き方を分けること。
どう思われるかは相手に任せて、自分はどう生きたいかを大切にする。
今日の会話で一度だけ、飲み込みそうになった意見を、相手を尊重しながら言葉にしてみる。
どう思われるかより、どう生きたいか。迷ったときは、その問いに戻ってきたい。
