エンディングノートは何を書く?はじめの1冊を家族に役立てる5つの手順
エンディングノートを買ってみた。でも、最初のページを開いたまま手が止まってしまう。葬儀の希望、財産、延命治療。どれも大事なことだと分かっているからこそ、何から書けばいいのか迷う。
エンディングノートは、全部を一度に埋めるものではない。自分に何かあったとき、家族が「どこを見ればいいか」「何を望んでいたか」を知る手がかりを、少しずつ書き足していくノートだ。
この記事では、はじめての1冊を家族に役立つものにするまでの順番を整理する。今日は、最初の1ページを書くところまで進めてみよう。
遺言書との違いを知っておく
最初に押さえておきたいのは、エンディングノートと遺言書は別のものだということ。自治体が配布しているエンディングノートでも、遺言書は財産分与などに関して法的効力を持つが、エンディングノートには法的効力がないと説明されている。[1]
つまり、ノートに「この預金は長女に」と書いても、それだけで財産の分け方が決まるわけではない。財産を誰にどう残すかをはっきりさせたいなら、遺言書を別に用意することになる。
| エンディングノート | 連絡先、医療・介護の希望、葬儀やお墓の希望、財産のありか、家族へのメッセージなどを自由に書ける。法的効力はない。 |
|---|---|
| 遺言書 | 財産の分け方などについて法的効力を持つ。決められた方式で作成する必要がある。 |
自分で書く遺言書(自筆証書遺言)については、法務局に預けられる「自筆証書遺言書保管制度」もある。保管の申請手数料は3,900円で、法務局に保管された遺言書は家庭裁判所の検認が不要になる。遺言者が指定した人へ、遺言書が保管されていることを通知する仕組みもある。[2]
1冊目は、無料のノートで十分
エンディングノートは書店でも売っているけれど、最初の1冊は無料のもので十分だ。多くの市区町村が独自のノートを作っていて、たとえば岡山市は市役所や区役所などの窓口で配布し、ホームページからもダウンロードできるようにしている。[3]
法務局と司法書士会が一緒に作ったノートもある。大阪法務局のノートは、相続・遺言・後見を中心にまとめられていて、資料編とノート編をダウンロードできる。[4]
住んでいる市区町村のノート
地域の相談窓口や支援の情報が載っていることもある。「市区町村名+エンディングノート」で調べてみよう。
法務局・専門家団体のノート
相続や遺言の基本を確認しながら書きたい人に向いている。
市販のノート
デザインや項目の多さで選べる。書き込む欄が多いほど、全部を埋めようとしなくていい。
普通のノートでもいい
大事なのは形式より中身。まずは手元のノートに書き始めて、あとで清書してもかまわない。
最初は「連絡先」と「医療・介護の希望」
最初の1ページには、家族がすぐに困りそうなことから書いていきたい。何かあったときに真っ先に必要になるのは、誰に連絡するか、どんな治療や介護を望むかという情報だ。
連絡してほしい人
親族、親しい友人、勤務先、かかりつけ医など、自分に何かあったら知らせてほしい人の名前と連絡先を書く。家族が知らない友人関係ほど、ノートに残しておく意味がある。
医療・介護の希望
延命治療についての考え、介護が必要になったときに過ごしたい場所、伝えておきたい持病や服用中の薬。自治体のノートでも、医療や介護、葬儀、お墓に関する希望を書く欄が設けられている。[1]
まだ決められないことは、「迷っている」と書いておくだけでもいい。どんなことで迷っているのかが分かれば、家族と話すきっかけにもなる。
延命治療については、まだはっきり決められていません。ただ、痛みや苦しさはできるだけ和らげてほしいと思っています。そのときは、家族とお医者さんで相談して決めてもらえたら安心です。
お金や契約は「どこにあるか」を書く
銀行口座、保険、年金、クレジットカード、毎月引き落とされている契約。家族が手続きを進めるとき、まず困るのは「どこに何があるのか分からない」ことだ。金額よりも、ありかと連絡先を書き残しておきたい。
| 銀行・証券 | 金融機関名、支店名、通帳やカードの保管場所。ネット専業の口座も忘れずに。 |
|---|---|
| 保険・年金 | 保険会社名、証券の保管場所、担当者の連絡先。年金の手帳や通知書の置き場所。 |
| 毎月の支払い | 携帯電話、サブスクリプション、会費など。引き落とし口座やカードも書いておく。 |
| 大事な書類 | 不動産の書類、契約書、印鑑の保管場所。遺言書を作ったなら、その保管先。 |
暗証番号やパスワードそのものを書き込むかどうかは、慎重に考えたい。ノートは家族が見つけやすい場所に置くものなので、ほかの人の目に触れる可能性もある。国民生活センターは、スマホのパスワードを名刺サイズの紙に書いて修正テープで隠し、家族が分かる場所に保管する方法を紹介している。[5]
スマホやネットの契約まで含めた整理の仕方は、デジタル終活の記事でまとめている。
置き場所を伝えて、ときどき書き直す
どれだけ丁寧に書いても、家族に見つけてもらえなければ役に立たない。書き終えたら、ノートがあることと、どこに置いているかを信頼できる家族に伝えておこう。中身を全部見せる必要はない。
エンディングノートは書き直してかまわないものだ。[1]引っ越しや転職、保険の見直し、家族構成の変化があったら、そのページだけ更新すればいい。誕生日や年末など、見直す日を決めておくと続けやすい。
最初の1冊で、ここまでできたら十分
全部が埋まっていなくても大丈夫。チェックが一つずつ増えていけば、それだけ家族の安心も増えていく。
書き始める前に、気になること
何歳から書けばいい?
決まった年齢はない。病気やけがは年齢に関係なく起こるし、一人暮らしや子育て中など、生活が変わったタイミングで書き始める人もいる。若いうちは、連絡先と契約のありかだけでも書いておくと役に立つ。
家族に中身を見られたくない
中身を見せる必要はない。ノートがあることと置き場所だけを伝えておけばいい。見られたくないページは封筒に入れておくなど、自分なりの方法を考えてみよう。
ノートに書けば、財産の分け方も決められる?
エンディングノートには法的効力がないため、財産の分け方を確実に決めたいなら遺言書が必要になる。遺言書の書き方や相続の進め方は、司法書士や弁護士などの専門家に相談しよう。
今日は、連絡先を3人だけ。
エンディングノートは、最後のページから書く必要はない。今日は、何かあったら知らせてほしい人を3人だけ書いてみる。それだけで、家族が最初に困ることを一つ減らせる。
残りのページは、思い出したときに少しずつ。書き足していくうちに、これからどう暮らしたいかも見えてくるはずだ。

